女性が駄だめであるジークハルトが、実質二時間という令嬢達の戦いの場を切り抜けられたのは、大変素晴らしい結果だ。ただしそれは、一度エリザを執務室に送り届けたのち、再び茶会の場に戻ってサポートに走り回ったルディオの貢献もおかげもあるとは思う。

(むしろ、彼にもご褒美を与えるべきでは)

 エリザは、同僚の近衛騎士達に半ば担がれる形で、ルディオが引きずられて運ばれてきたのを見た時は、びっくりした。

 茶会が無事に終了したのち、疲労で倒れたそうだ。

 執務室でフィサリウスとジークハルトとも合流できたものの、気苦労ですっかり疲れ切ったのか、ルディオは向こうの寝椅子で横にさせられ、濡れタオルで顔を覆ったまま放置されていた。時折り「殺生はダメだ……」と悪夢にうなされたように呻いている。

 いったい何が、と気になった。

 しかし現在、エリザも大変なことになっていた。

 再会した際にジークハルトに泣きつかれたし、頑張りは状況からも理解できて『ルディオがあんなに頑張ったのなら自分もっ』と思い、彼の望むご褒美とやらを二つ返事で了承してしまったのだが――今、ものすごく後悔している。