王族の護衛進行にエリザは同行できないで、ジークハルトには頑張ってもらうしかない。

「現場では頑張ってね。蕁麻疹は、たぶん今日までだよっ」
「おお、心強い励まし言葉だ」

 ようやくルディオがいつもみたいに笑ってくれた。彼は一人掛けソファの背に、慣れたように背中を楽に預けた。

「俺らってさ、もうしばらくずっとジークのサポート組だったじゃん? エリオもどうにかして同席しねぇ?」
「王妃様の茶会に? とんでもない提案しないでよ、無理、やだ」
「やだ、てまた可愛い……んんっ」
「私がそばにいたら、ジークハルト様に白い目が向けられるかもしれないじゃんっ」

 口元に軽くぎった小藤を寄せたルディオが、なんだか呆れたように見てきて「そっちなんだ……」などと言った。

「それに私は、だだの魔法使いで、治療係なの」

 エリザは念押しした。だが、ふと「でも……」と呟く。

「どうした?」
「呪いを薬が前もって完成して飲ませられていたらな、と考えているのは、殿下も同じだよね……一番はらはらしているかも」
「そうだと思うぜ。この前と違って大勢の令嬢が集まるわけだし」