初めての経験だったので、素質があるみたいに褒められると『上手だったのかな?』とか思って、その気になってくるというものだ。

 ジークハルトは、こちらを見下ろして美麗な顔に笑みを浮かべた。

「そうですよ。眠れない時はまたお願いしてもいいですか?」
「そんなに言われたら仕方がないですね。分かりましたっ、眠れなくなったら私の出番ですね!」

 任せてくださいと拳を掲げたエリザは、直後にハッとした。

(いや、もうそんな日こないんだから、何言ってんの!?)

 嘘を吐いたような罪悪感に震える。

 彼がそんなことをねだっているのは〝呪い〟のせいなのだ。それがなくなったらエリザの聖女の効能は必要としないわけで、それによる安心感だとかも覚えなくなるので、そもそも同性の彼女をそばにいて欲しいと望むはずがないわけで――。

 隣を歩くジークハルトが、そんなエリザを甘い眼差しで見つめていた。

「――……素直で、手に入れたくなるなぁ」

 混乱しまくっていたエリザは、よく聞こえなくてハタと顔を上げる。