白い掛け布団の上に、異国の絵本を広げた。
読むことに集中させようとしてくれているのか、視線を開いたページに落とした際、頬にかかったエリザの赤い髪をジークハルトが耳に引っかけてくれた。
「昔々、あるところに一人の魔法使いの男の子がいました――」
エリザは、柔らかな声でそれを読み上げた。
それは主人公の少年が冒険に出て、仲間と出会い、悪い魔法使いと闘って幼馴染の女の子を助けて結婚をするお話だ。
さすが魔法がある大陸だなと思わせる内容だった。あらゆるところで魔法が登場する。箒に乗って空を移動したり、山を超えるために海から船ごと浮かび上がらせた部分では思わずびっくりしてしまった。
その際、頭が動いたところで大きな手が顔の横に触れた。
エリザはその時になって初めて、ジークハルトの手がずっと髪を撫でていたことに気づく。
「ふふ、集中していましたね。物珍しい話でしたか?」
先に声をかけられて、気がそらされた。
「はい。気になったんですがこの船の話って、さすがに現実ではないですよね?」
読むことに集中させようとしてくれているのか、視線を開いたページに落とした際、頬にかかったエリザの赤い髪をジークハルトが耳に引っかけてくれた。
「昔々、あるところに一人の魔法使いの男の子がいました――」
エリザは、柔らかな声でそれを読み上げた。
それは主人公の少年が冒険に出て、仲間と出会い、悪い魔法使いと闘って幼馴染の女の子を助けて結婚をするお話だ。
さすが魔法がある大陸だなと思わせる内容だった。あらゆるところで魔法が登場する。箒に乗って空を移動したり、山を超えるために海から船ごと浮かび上がらせた部分では思わずびっくりしてしまった。
その際、頭が動いたところで大きな手が顔の横に触れた。
エリザはその時になって初めて、ジークハルトの手がずっと髪を撫でていたことに気づく。
「ふふ、集中していましたね。物珍しい話でしたか?」
先に声をかけられて、気がそらされた。
「はい。気になったんですがこの船の話って、さすがに現実ではないですよね?」