そう考えると、弟が兄にくっついている感じなんだろうなぁと微笑ましくなった。

「さっ、次はいったん執務室ですよね? 行きましょうか」

 エリザはくりんっと廊下の奥を向く。

「いや、その腕に突っ込まないんかい」

 同じく足を進め出したルディオが、指摘してきた。

 呪いが強まっているから仕方がないのだ。そう答えようとしたのだが、エリザは手を引かれ、肩を抱かれて流れるようにジーハルトに隣へと移動させられた。

(この姿勢は……エスコートでは?)

 彼女の頭に、疑問符がいっぱい浮かんだ。

「……あのー、ジークハルト様?」

 すぐ隣の、随分上にある彼の顔を見上げた。

「はい、なんですか?」
「こんなふうに手を取られなくても、私歩けますよ」
「こういう時は僕が案内しないと」
「道順知ってますけど?」

 エリザが答えるごとに、その隣でルディオが「回答にことごとくツッコミたくなるっ」と、何やら独り言をくぐもらせていた。