「身長が低いのは仕方ないんです、たぶん。いずれ伸びます、成長が少々遅いタイプなんです、たぶん」
「たぶんが二つ――希望論?」
「なんて失礼王子様なんだ」

 エリザは思わず、口に出した。

 けれど、やはりフィサリウスは対応が甘くて、笑っただけだった。けれどその表情はすぐに曇っていく。

「解除薬については、もう材料集めに入ってもらっているから、でき次第すぐにでも君へ届けさせるよ。受け取ったら、それをジークに飲ませてね。はぁ」
「不吉な溜息を吐かないでください。なんなんですか?」

 あれだけ親友の『呪い』を解きたいとしていたのに、露骨に乗り気でなくなった彼にエリザは顔を顰めた。

 するとフィサリウスが、真剣な顔をして身を乗り出した。

「君にはすごく世話になっているし、もう僕の友人でもある。だから、その解除薬を飲ませたあとで無理やりとかいう展開になって、初めてなのにとてもつらいことになったとか愚痴る相手がいなかったら、私に頼ってくれていいからね。ジークのことは一発殴るから」