「まぁ……今のジークハルト様は、確かに私が治療係としてすすめれば、薬なのだと疑わず飲んでくださるでしょうね」

 呪いの副作用(?)による懐き具合からするに、進んで治療方法を受け入れるだろう。

「この前、私がしたいように治療の協力につき合うと約束してくださいましたし」

 思い返して口にしたら、フィサリウスの笑顔が初めて固くなった。

「あれ? どうかなさいましたか?」
「あんな賭けをした身が心配だな、と思って……」
「心配?」
「あの時のジークの様子からするに、彼、次は本気で」

 そこでフィサリウスの顔色が悪くなった。同時に言葉を止められてしまって、エリザは気になった。

 エリザが心配しつつ小首を傾げたら、彼が口を開く。

「一つ確認したいんだけど、君は、いちおう成人しているわけだね?」
「なんかその確認怖い気がするんですけど……そうです、十八歳です。この国の女性の成人は十八からなんですよね?」
「男も同じだけどね。いや、こう、まじまじと見ても君はもう少し年齢が低く見えるからさ」

 彼が腕を抱え、顎に手をあてて、じーっと見つめてくる。

 なんて失礼な王子様なんだ。