「そうか。君は自覚がないんだな、頬くらい染めてくれるかなと思ったのに」
「社交辞令くらい聞き流せます。それで、術は解除できるものなんですか?」
「できるよ。『おまじない』には始まりと、終わりがあるんだ。ただし術の実行者限定だね。そこで登場するのか、精霊が貸し与えた力を無効化する万能薬になる」

 これが本題の『朗報』だったのか、彼がにーっこりと笑った。少し首を傾げられた際に、彼の癖のない金髪がパサリと白い頬に落ちていた。

「……その感じからすると、裏技?」
「そ。あらゆる古い文献を捜した結果、魔法が始まった時代に、精霊が力を肩代わりして掛けた魔法というのは、私たちが自分の魔力を使う魔法で溶けてしまうのが分かったんだよ。どんなものでも、全部ね」
「あ、それで使われなくなっていった感じですか?」
「そうみたいだ」

 歴史まで繋がっているのかと、エリザはわくわくしてしまった。魔術から魔法への移行なんて、初めて聞く話である。