「魔術師である君が言うのなら、私のその推測も正しかったわけだ」

 彼が膝の上で優雅に手を組み合わせ、にっこりと笑った。

「大昔の、精霊の力を借りて誰もが魔法を使えたという話については、まさに君が口にした要素は必須みたいだね。まるで調理の手方のようだ」
「まさにそうですよ。高度な魔術になるほど、たとえば灰の量もきっちり定められています」
「わぉ、それはすごいね」

 エリザはティーカップを置いて「ひとつまみの量も訓練するって、師匠が言っていました」と手振りで披露した。

 フィサリウスは足を下ろし、興味深そうに眺めていた。

「我が国の大昔の魔法は〝精霊の魔法〟と言われているみたいだよ。精霊は基本的に悪戯好きだとされていて、言い伝えられている『おまじない』に危険なものは存在していないことは急ぎ確認させた。我が国の治安に関わるからね」

 すると、ジークハルトは危険な状態ではないようだ。

 それが明確になったのは安心で、ひとまずエリザはほっとした。