エリザはしばし考え、「……はい?」と小首を傾げてしまった。

「僕の勘が外れないのも問題だよねぇ」

 ティーカップを持った拍子に、フィサリウスはそんなことを呟いていた。それもまたエリザにはよく分からないことだった。

「ま、とにかく君も飲んで。あれだけ話して泣きもしたんだから、喉が渇いているだろう」
「泣いてません。……あれ、泣いた、かな?」

 言い切っておきながら、エリザは間もなく首を捻った。

 たぶん、ちょっと疲れている気がする。そこれは確かにたくさん喋ったうえ、王子様相手に泣きもしたからだろう。

(危ない、ちょっと気をつけないとな)

 普通だと首が飛ぶ――などと考え、彼女は今一度冷静になるためにも、彼がすすめた通り紅茶を飲んでひと息つくことにした。

 その様子を眺めていたフィサリウスが、忍び笑いをした。

「さて。そんな君に朗報だよ」

 彼がティーカップを置き、長い足を組んだ。

「クリスティーナ嬢に的を絞って調べたところ、彼女の母方の地方に伝わる、ある〝おまじない〟に辿り着いた」