「『幼児レベルで悪化している』って、ふ、ふふふ」
「悪い事ではありません!」
「ああ、うん、ごめんね。君は真剣だものね」

 ぶわっと泣いたエリザを見て、フィサリウスがさっとサンカチを出した。

「さすがは王子様」
「思ったことが口から出てるけど、それはまぁ今の状況なら仕方ないか。少し機嫌は直してもらったかな?」

 エリザはハンカチを目元にあて、こくりと頷く。

 ようやく静かになった彼女を見たフィサリウスが、小さくほっとした。

「あ~……まぁ、なんとなく分かったよ。うん。これはまた、自覚して吹っ切れた途端になかなか手強い」

 いったい何を言っているんだろう。意味が分からない。

「手強いっていうレベルじゃないですよっ」

 エリザは、ハンカチでテーブルをぺしぺしと叩いた。

「うん、君ってほんとすごいなぁ。見ていて面白いよ」
「何が!? 私、必死なの! 面白くないのっ」
「話していて楽しいよ。それで、君はジークにどきどきさせられて困っているわけ?」