これも『呪い』と『浄化作用』の相乗効果だったりするのだろうか。おのれ、と思いかけたが、顔も知らない母のことを悪くは絶対に言えない。

 するとジークハルトが、エリザの手にキャンディーの包みを握らせてきた。

(自然に持たせないで欲しいな……)

 エリザは、手の中に帰ってきたキャンディーを見た。

 あの錯乱(?)と誤解発覚事件。そしてクリスティーナとの茶会があった日から変わったことがあるとすれば、この、ジークハルトの子供みたいにな懐き具合が、悪化を辿っていることだ。

 貴族と使用人は同じ席で食事をしないのが常なのに、昨日は食事を一緒に食べたいとだだをこねられた。

 あと、寝るまで本を読み聞かせてくれないかと一昨日からねだられ続けている。

 それが駄目なら、自分が寝るまで手を握って話を聞かせていて欲しい、と――。

(うん、なぜなのか分からない)

 休憩中は、そういう気分なのやら、味見してみてやらとうまいこと理由をつけて、ケーキを食べさせられ餌付けられている気分――あ、いや、これはその前からあったことか。とにかくエリザは一抹の不安を覚えている。