「それはどうかねぇ……。一年かけて【死の森】まで旅し続けてきたとは聞いたけど、隣国に行くのも何か目標がでもあるのか?」
はぐらかすように確認された。
「うーん――生きること」
「それだけ? 俺の友人としてこうして隣にいるのは心地よくないのか? 公爵家とか」
自分でそう聞いてくる人も珍しい。
エリザは、大きな赤い目を彼へと向けた。生き続けること。それが『師匠』との約束だ。けれどどうしたらいいのか、自分でもよくは分かっていない。
「正直言うとね、こんなふうに友達ができたのも初めてだよ。【死の森】に居座ったのも想定外だった」
「それなのに隣国へ行くつもりなのか?」
「ずっといたくなっちゃったら公爵様にも悪いでしょ。私はこの国の人じゃないから、故郷だとか、家だとかもないし。就職なんて考えたこともなかったし」
少しでも触れたら『聖女の浄化』で魔物が消滅する。
この国では魔物を倒すだけでお金になったりするし、時間をかけて転々としていくくらいなら食べるのには困らない。
はぐらかすように確認された。
「うーん――生きること」
「それだけ? 俺の友人としてこうして隣にいるのは心地よくないのか? 公爵家とか」
自分でそう聞いてくる人も珍しい。
エリザは、大きな赤い目を彼へと向けた。生き続けること。それが『師匠』との約束だ。けれどどうしたらいいのか、自分でもよくは分かっていない。
「正直言うとね、こんなふうに友達ができたのも初めてだよ。【死の森】に居座ったのも想定外だった」
「それなのに隣国へ行くつもりなのか?」
「ずっといたくなっちゃったら公爵様にも悪いでしょ。私はこの国の人じゃないから、故郷だとか、家だとかもないし。就職なんて考えたこともなかったし」
少しでも触れたら『聖女の浄化』で魔物が消滅する。
この国では魔物を倒すだけでお金になったりするし、時間をかけて転々としていくくらいなら食べるのには困らない。