(うん、あとは、見せつけるみたいに私をそばに置かなければね!)

 茶会から数日、いまだ王宮に流れ続けている『治療係と公爵嫡男の禁断の恋愛』というのは、やめていただきたい。

 とはいえこの数日、ジークハルトは以前より過大が多めなのにこなせる数も多かった。

 王宮内の移動で知り合いの令嬢と顔を合わせても、指先を震えさせないで短い雑談をこなした。

 視察の護衛でハロルドがジークハルトを数時間連れ出した際にも、女性騎士に対して困らされることはいなかったそうで「どんな魔法を使ったんだ!?」と治療方法を驚かれた。

「なぁエリオ、どう思う?」

 例の茶会から四日目、ジークハルトが任務に入るまでの短い時間、散歩がてら歩いていたエリザは、ルディオと支柱のそばに待機していた。

 覗き込んでいるのは、王宮の回廊の一角だ。

 そこには自分の騎士を連れていた美しい侯爵夫人と、なごやかに雑談をしているジークハルトの姿がある。

「やっぱクリスティーナ嬢の一件が効いてんのかな?」