「もう、三週間になるのだねぇ。よくやってくれているよ。君が来てから毎日賑やかだ。ジークも以前より多く部屋から出てきてくれるし」
「ありがとうございます」

 臨時の治療係としては、その期間でここまで良くやってくれたと褒められたら悪い気はしない。エリザは、はにかみながらも礼を伝えた。

「ただ、君から別れを口に出されると、想像以上くるなぁ」
「あ、申し訳ございません。食事の件もサジさんから聞きました。一介の雇われなのに、大切にしてくださって感謝しています」
「いや、あれは私の指示ではなくてジークだよ」
「ジークハルト様が?」

 エリザの勤務初日、夕食の席でジークハルトがそれについて述べたそうだ。そしてセバスチャンたちにも意見を求めた。

 あまりにも細いし、小さい。たしかに食事は大事だと使用人たちも思ったそうだ。

 そこで公爵邸の護衛の者たちもエリザが食事をすっぽかさないよう、常に気をつけることにしたとか。