中途半端に途切れたが、後半が相談の理由だろうとエリザは勘繰った。

(たぶん、何かあれば報告を、とお願いされているんだろうな)

 フィサリウスがジークハルトを大切にしていて、彼のために『呪い』を解きたいと思っているのは理解していた。

 だから個人的にエリザを呼び出して、話しもつけた。

「それでは、私の治療目安は呪いを解くまで、ですね」

 呪いが解ければ呼吸困難になるくらいの恐怖感は襲いかかってこないし、すんなりと女性と交流に繋げられれば最良だ。

 それまでにエリザ、できるだけジークハルトの苦手意識をどうにかする。

「うーん。一般的に考えると、君は仕事もよくできるしそうなるのだろうな」

 腕を組んだラドフォード公爵が、妙な言い方をした。

「明日でも明後日でも、殿下から呪いを解く方法を実行されると想定して今よりももっと頑張っていきますからっ」
「いや、私は心配しているんじゃないよ。君はとてもよくやってくれている」

 彼が書斎机の上の置きカレンダーを見た。