そして夕食前、エリザはラドフォード公爵と話す時間を取ることができた。もちろん今後の治療方針についてだ。

 まずは一体一で令嬢と茶会ができたことを感謝された。

「あそこまで改善するとは、さすがだよ。本当にありがとう」
「いえ、元々ジークハルト様の恐怖感の原因は『呪い』ですから」
「だとしても、彼が経験から女性を怖がっているのは確かだよ。症状が出なくとも、あの怖がりようだからね」

 エリザは、確かに……と出会った頃を思い返した。

 治療に関しては、過去にあった『女性たちにモテにモテたことによる恐怖体験』が克服できるよう、引き続き行うことになった。

 そしてフィサリウスの方で『呪い』を解くための調査を進める、と。

「王宮に行っていたと聞きましたが、殿下とお会いしていたんですね」
「急ぎの相談も兼ねてね。ああ見えてジークは、殿下が一番の騎士として欲しがるくらいには優秀だから」

 ラドフォード公爵が視線を書斎机の上へと移動した。