「フィーが……? 彼がそう言ったのですか?」
「そうです! 私は『呪い』も弱められる特殊な魔法使いだから、それでジークハルト様は色々勘違いをされているのかとっ!」

 ジークハルトがようやく唇から手を離してくれた。考えるように少し視線をそらす。

「……『呪い』、ですか」
「そ、そうです」
「それがなくなれば、僕が勘違いではないということを、あなたに分かっていただけると?」
「は? いや、どうしてそうなるの――はいっ、今のは言葉を間違えました! そうだと思いますっ、いえ絶対そうです!」

 ジークハルトが「どうなんです?」と顔を寄せてきたので、エリザは大慌てで彼の意見をとりあえず肯定した。

 彼がちらりと思案する表情をした。

 普段よく見ている情けない感じではなくて、なんだかエリザは非常に落ち着かない。

「分かりました。いいですよ」
「えっ、ほんとですか?」
「フィーが呪いを解こうと準備しているわけでしょう? 俺は魔法はよく分かりませんが、それでエリオの気が済むのなら、いくらでも協力しましょう?」

 彼がにーっこりと笑いかてくる。