「レイヤ様、今のって――」
「こ、こここれはっ、親愛の証である挨拶のキスだ! し、親友ならみんな普通にやってるやつだからなっ」
「こっちでは親友にもするんですか? ああ、そういえば町中でのスキンシップ強めですよね」

 首を捻りつつ、文化の違いかなと考える。

 町中で男性同士肩を叩きながら組んだり、令嬢同士がくっついて楽しそうに内緒話をしながら歩いていたりと、友好表現がかなり親密的だとは感じていた。

「なるほど。家族だけじゃなくて、友人にも親愛のキスをするものなんですねぇ」

 立ち上がって向かい合ったら、彼が動揺したように挙動不審になり、それから心臓のあたりを押さえて「落ち着け」と何やら言い、偉そうに顔を上げた。

「こ、光栄に思うがいい! エリオは僕にたくさんの楽しい遊びを教えてくれたから、特別に親友にしてやる!」

 なんと、友達がいなさすぎるせいで……とエリサは同情した。

 ひとまず彼の親友認定というのを受けてやることにした。たぶんそれ正しくは友人と言うべきですよ、と思ったが心優しい年上のエリザは訂正しないでやる。

「それは光栄です」