「おい、令息の腕をぱしぱしする奴がいるか?」
「さあさあ、目を閉じて」
とにかく眠いので、数分黙っていて欲しい。
そう願っていると、しばし静かな時間が流れた。レイヤも目を閉じてくれているのだろう。素直に試してみるとか、案外可愛いところがある男の子だ。
(ああ、これ、ちょっと長引いたら本気で寝そう……)
そう思った時、不意に、頬に湿った感触が触れるのを感じた。
エリザはふっと目を開けた。すぐ近くにあった少年の顔が、ぱちりと目が合った瞬間みるみるうちに赤く染まっていった。
「か、かわい……」
「はい?」
レイヤが警戒心の強い生き物のように素早く離れ、立ち上がりながらも耳まで赤くなった。
どうやら頬にキスをされたらしい、というのは理解た。
(……なぜ、おまじないのキスをされた?)
不思議に思いながら、頬を触りつつ起き上がる。
よく眠れるようにという悪夢を見ないための、起きる際に本日も災いがないようにと、それから親しい中での『親愛のキス』がある。
親代わりの師匠にもたびたびされたが、エリザとレイヤは他人同士である。
「さあさあ、目を閉じて」
とにかく眠いので、数分黙っていて欲しい。
そう願っていると、しばし静かな時間が流れた。レイヤも目を閉じてくれているのだろう。素直に試してみるとか、案外可愛いところがある男の子だ。
(ああ、これ、ちょっと長引いたら本気で寝そう……)
そう思った時、不意に、頬に湿った感触が触れるのを感じた。
エリザはふっと目を開けた。すぐ近くにあった少年の顔が、ぱちりと目が合った瞬間みるみるうちに赤く染まっていった。
「か、かわい……」
「はい?」
レイヤが警戒心の強い生き物のように素早く離れ、立ち上がりながらも耳まで赤くなった。
どうやら頬にキスをされたらしい、というのは理解た。
(……なぜ、おまじないのキスをされた?)
不思議に思いながら、頬を触りつつ起き上がる。
よく眠れるようにという悪夢を見ないための、起きる際に本日も災いがないようにと、それから親しい中での『親愛のキス』がある。
親代わりの師匠にもたびたびされたが、エリザとレイヤは他人同士である。