(ここから出たら、魔法で姿を変えているということにしておこうかな)

 同年齢の女性と比べても、平均よりちょっと小さいのは自覚している。幼い頃から始めた戦闘訓練のせいなのか、独り立ちしてからとくに考えもせず、食事を適当に取っていたせいなのか。

(うん……今は、食事もすごく美味しい……)

 それから、ベッドもふかふかだ。

 思い返しながら心地よい疲労感で眠くなってきた。外でも安心して寝られる私有地バンザイと思い、顔を正面に戻して目を閉じた。

 火照った顔に、植物を揺らす風が流れていくのが気持ちいい。

「おい、ここで寝るのか? 危機感がない魔法使いだな」
「数分目を閉じるだけでも、疲労は回復するものですよ~」

 治療師として日中は勤務しているから、こんなふうに惰眠を貪ってゆっくりできるのも貴重だ。

「レイヤ様も少しやってみてください。気持ちいいですよ……」
「ふ、ふにゃふにゃした声で言うなっ。男だろうが」
「はいはい、まずは数分だけ」

 エリザは手を伸ばし、目を閉じたまま隣の彼をぽんぽんとする。