「まだ十六歳でしょう? 学校ではしなかったんですか?」
「なかったな。貴族学校ではこんな遊びは教えないし、最近卒業した騎士学校ではとくに一緒にいる者はいなかったし……」

 彼の声が萎む。エリザはハッとした。

(やばい、そう言えばボッチだった!)

 友達作りがへたなのかなと思いつつ、話題を変えることにした。

「卒業して、今はどこに所属しているんですか?」
「今は第三騎士団にいる。ああ、そうだ、強い魔法使いは長生きするというが、エリオもそうなのか?」

 隣からカサリと音が上がって、レイヤがこちらへ顔を向ける気配がした。

「いえ、寿命は普通ですよ。見た目も普通の十八歳」
「不思議な奴だな。強い魔法使いは大抵姿を変えるのに。今の姿だと僕より年下か、百歩譲って同じぐらいだぞ」
「失礼な。ちゃんとあなた様より年上です」

 エリザは顔を横に向けた。そこには、自分と同じように楽に手足を投げ出して、こちらを見つめるレイヤの目があった。

 彼は、じっと見てくるだけで文句を言い返す感じはなかった。