「すごいな、草が船になるとは」
「最後はこれを川に流して、流れる速さを競うんです」

 きらきらとした目は確かに十六歳の少年っぽくて、エリザはなんだか微笑ましくてにこにこした。

「それはもったいない気がするな。持って帰りたいが、すぐに枯れてしまうだろうから無理か……そうだ、魔法使いと呼ぶのは面倒だから僕はお前をエリオと呼ぶぞ。で、次は何をするんだ?」

 船を作る、というのはもう達成感もあって飽きそうだ。

 エリザは青い空を眺め「そうですねぇ」と思案した。整えられたそこの花壇に蝶が飛んでいるのを見て、レイヤに顔を戻してにっこりと笑った。

「それなら、蝶遊びをしましょう」

 傷つけないよう捕まえるのがルールであることを教え、一緒に草を使って仕掛けを作った。彼は茎部分を剥くと柔らかな芯が出てくるのを初めて知ったようで、「おぉ」と感動していた。

 そして花壇の方に仕掛けて、二人で草の上に腹ばいになってしばらく待った。

「エリオっ、蝶が……!」
「まずは見ててくださいね」