「茶会は一時間ほどですので、それまでにレイヤ様をお送りしてくださいね」
「私がバラ園の近くまで行って大丈夫でしょうか?」
「ご案内は近くまでで結構です。ああ、レイヤ様テラス席をご準備しましょうか?」
「必要ない。僕だって草の上ぐらいには座る」

 というわけで、屋敷の裏側に二人で戻ることになった。

 日差しがあたりっぱなしはよくないと考え、建物の影か落ちた場所を捜した、長い葉を風でそよがせる茂みを見付けて、胡坐をかいて座り込む。

 その際、エリザはハンカチでも敷こうかと提案したら、見事怒られた。

「女性扱いするなっ、騎士も訓練の休憩で木陰に座るぞ」
「なるほど」

 女性扱いではなく、エリザなりに貴族のお坊ちゃん扱いを心掛けたのだが、難しい年頃だと苛立たせるらしいとは勉強になった。

 レイヤは、草を使った遊び、という草船作りの初挑戦に苦戦した。

 エリザが丁寧に教え、何度も挑戦してようやく一番簡単なものが仕上がった時は、できたことを自慢して見せてきて誇らしげに胸を張っていた。