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 来客者を勝手に連れ回すものではないと考え、一度、裏口から入ってセバスチャンに確認を取った。

「なぜピンポイントで遭遇するのですかね……」
「すみません」

 セバスチャンはレイヤの手前、溜息もほどほどにして考えてくれる。

「庶民の遊び、ですか……」
「正直、何をどう教えようか考え中です。敷地内でできることってありますでしょうか」
「まずは草船作りはいかがでしょうか?」

 騎士として所属しているとはいえ、休日を過ごしている貴族令息だ。それだとあまり動かずに済む。

 ちらりと当レイヤの反応を見てみると、好奇心で目を輝かせている彼がいた。

 よかった、これて解決ですねと言わんばかりにセバスチャンが軽く両手を合わせる。

「長い葉で船を作って楽しむものですが、レイヤ様はご存知でないようですね。一度体験してみるのはいかがでしょうか?」
「うむ、いいだろう」
「屋敷の裏でしたら出歩いても問題ありませんので、そちらへどうぞ」

 続いて目を向けられて、エリザは「分かりました」と答えた。