(うん、でもさっきのボッチ感を見ちゃったら怖さ減……)

 強がっているわけではないのに、先程の出会いを誤魔化そうとしているのではないか、なんてエリザの頭は余計なことを考える。

 ――魔法眼。

 確か読んだ本の中で見た。一部の一族たちが持っている遺伝のもので、それぞれ特徴を持っているとか。

(真名で何か知れる魔法眼は、その人間の持つ能力値や状態を暴くもの、だったはず……その者の頭上に文字が浮かんで見えるとか?)

 エリザはそう思い返し、運のよさに感謝した。

(偽名で活動していてよかった!)

 ここでエリザの頭の上に『魔術師』『魔力ゼロ』『浄化体質』『母が聖女で父が勇者』なんて情報が出たら、とんでもなかった。

 こういうこともあって『活動名』を名乗っている魔法使いが一般的にいるのだろう。

「おい、何を勝手に笑っているんだ?」

 苛々したように少年が文句を言ってきた。

 彼は名乗るつもりもないらしいし、へたに怒らせる方がまずいというものだ。

(うん、強がりで偉そうで、ボッチなの見ちゃったしね!)