「俺は女の子が好きなんだ! ぶっちゃけると酒屋のマリーンみたいな、ぼんっきゅっぼんのお姉様系美女が好みなんだよぉぉおおおおお!」
「知るかぁぁあああ!」

 エリザは力を加減しつつ、腰に抱きついてきたルディオの頭に手刀を落とした。
「ぐぇっ」とくぐもった声を上げて彼が床に崩れ落ちる。

「さ、さすがの怪力魔法だぜ」

 魔法ではなく、魔術だ。

 けれど指輪の事情を話していないエリザは、何も言わず睨み付けていた。

「頭は冷めた?」
「冷めた。俺が結婚相手にさせられたら最悪だ」

 まだ冷静に戻れないらしい。

 するとすぐに復活したルディオが、その場で正座して真剣な眼差しでエリザを見上げた。

「幸い、【赤い魔法使い】は男だと思われてるし、あんたならきっとなんとかできると思う!」
「その根拠のない自信はどこから来た!? 相手は極度の女性恐怖症なんだから、無理でしょ! 凛々しい表情したって引き受けないからねっ」