貴族の衣装を着た彼は、その姿さえも様になっていた。事情を知らない者が見れば横顔も見目麗しくて、悩んだ感じが色っぽささえ漂わせている。

(ん。意識しない、意識しない……)

 最近、やけに懐かれているせいで笑顔の威力がすさまじいせいだろう。なんだかきらきらとしたフィルターがかかっているように見えて、エリザは自分も深呼吸した。

「でもさ、この短期間でジークもすげぇ成長したよな」

 ルディオがとんとんと肩を指で叩いてきた。ジークハルトが集中している隙に、エリザは小さな声でやりとりする。

「そう思う? 私も、そこはちょっと誇らしく思ってる。提案した時にすごく頑張っていたんだよね」
「そうか。殿下も今回のこと、すげぇ褒めてたぜ」
「それはよかった。並ぶと絵になるよね」
「まぁ美男美女だしな。ところでさ、お前が周りの男共と一緒になってクリスティーナ嬢に悶えてたって一部で噂になっているけど、あれってマジなのか?」
「…………」