数人の令嬢グループに睨まれたので、なんだろうと不思議に思っていたら、恋の邪魔虫として敵視しているようだと親切なメイド達に教えてもらった。
さすがのエリザも頭を抱えた。
(男だと思われているのに、女性達の一部に恋敵と思われている状況……)
早く術が解ければいいのにな、と希望していた。
あと、そろそろ雇い主の公爵からお𠮟りが飛んでこないかとっても不安――。
「もう、いいですか?」
じっとしていると、伝わってくる体温で落ち着かなくなってきた。頬が熱くないことを確かめてから、エリザは身じろぎする。
不意に、上から、くすりと笑うような吐息が聞こえた。
気のせいかと思って顔を上げたら、ジークハルトがこちらを見下ろして微笑む。
「――いいですよ?」
彼が解放してくれたものの、なんだろう、今の間、とも思う。
掛けられた術のせいだと納得する一方で、これは見せかけなのかと思うと少しだけ寂しいと感じている自分もいる。
(わざと彼がそうしているはずなんて、ないのに)
どきどきするのは不毛だ。
だからこそ、勘違いしてしまう前に術が解けて欲しいとも思っていた。
さすがのエリザも頭を抱えた。
(男だと思われているのに、女性達の一部に恋敵と思われている状況……)
早く術が解ければいいのにな、と希望していた。
あと、そろそろ雇い主の公爵からお𠮟りが飛んでこないかとっても不安――。
「もう、いいですか?」
じっとしていると、伝わってくる体温で落ち着かなくなってきた。頬が熱くないことを確かめてから、エリザは身じろぎする。
不意に、上から、くすりと笑うような吐息が聞こえた。
気のせいかと思って顔を上げたら、ジークハルトがこちらを見下ろして微笑む。
「――いいですよ?」
彼が解放してくれたものの、なんだろう、今の間、とも思う。
掛けられた術のせいだと納得する一方で、これは見せかけなのかと思うと少しだけ寂しいと感じている自分もいる。
(わざと彼がそうしているはずなんて、ないのに)
どきどきするのは不毛だ。
だからこそ、勘違いしてしまう前に術が解けて欲しいとも思っていた。