あまり日も開けず、またしてもルディオはやってきた。

「……はぁ。あいつが数日熱で寝込んだ」
「どういうこと?」

 手土産の料理を食べながら、話を聞いた。

「婚約者にどうかと魔法写真を見せられてぶっ倒れた。診察の結果は、心労だってさ」

 なんて脆弱な精神力なのだ。

 上司の部屋を破壊する図太さを、そちらに回せばいいのに。

「何が言いたいのかは、よく分かる。けどな、ほんと病気みたいなもんなんだよ」
「私の心を勝手に読まないでほしいな」
「だから、遠慮がないくらい顔に出てるんだってば。あの怖がり方は異常だって。ちょっとでも女の子に触れると真っ青になって、蕁麻疹が出る」

 医者、精神科、魔女、魔法使い、同性の友人達――と色々治療は続けられているが、改善の進展は微塵も見られないとか。

「恋でもしたら治るんじゃないの? もしくは、結婚すれば周りも納得して落ち着く」
「それ根本の解決になってないだろうが。さては飽きたな?」
「私、そもそも興味は持ってないよ」

 ――だがエリザは、この時投げた軽い言葉を後悔することになる。