(……彼の女性恐怖症は、何か他に原因があるということ?)

 エリザが話せば教えてくれるという。交換条件は卑怯ではあるが、彼にとってもジークは大切な騎士で、友人だ。

 彼女もジークのことは改善してあげたいと思っている。

 それに――彼の口ぶりからすると、解決策にはエリザの正体が取薬買う可能性も示唆していた。

「……私の、身の保証をしていただきたいです。師匠が、みんなが繋いでくれた十六年なんです、そして海を渡ってここにきました……生き続けると約束したんです」

 そして二年、一人で生きてきた。

 秘密にし続けていることが重い理由だと察してくれたのか、フィサリウスが小さく目を見開き、それから真剣な表情で頷いた。

「もちろんだ。君の安全は、私、この国の第一王子フィサリウス・レヴァンが守ると誓おう」

 エリザはごっくんと唾を呑む。重い口を開きつつ、指輪を見せた。

「まず、これが怪力の正体です。私の指輪には、とても強い魔術が掛けられています。父と母が与えてくれた『怪力の指輪』になります」

 フィサリウスが、興味深そうに覗き込む。

「なるほど。魔力にしては〝不思議な感じ〟がすると思っていたが、これも魔法具だったんだね」