するとルディオの必死の問いかけに、ジークハルトがにっこりと微笑んだ。

「僕の治療係を取り上げようとする態度が、気に入らない。ちょっかいをかけて来ようとする人間の存在があると思うと虫唾が走る。勝手に餌付けられるのも我慢ならないし、エリオが治療係を辞めてしまうと思うと不安だから、まずはその要因を潰してきていいよね?」
「同意を求めるな! なんだその訳の分からん理由は!?」

 ジークハルトが立ち上がるのを力いっぱい阻止しているのか、彼の両肩を押さえるルディオの手が激しく震えている。

 確かに、よく分からない言い分だとエリザは思った。

(引き継ぎもなしに、治療を途中放棄されると思って不安に?)

 答えを求めるように、フィサリウスとハロルドへ視線を向けた。

 すると、途端に二人が青を青くして静かに拒絶を示してくる。

「今こっちを向くのはまずいよ」
「治療係としてジークを指導してくれっ」

 ひどい。こちらだって訳が分からないでいるのに。