「性格も良さそうだし、可愛いは正義だよねぇ」
「呑気だよなぁ。エリオ、少し気を付けた方がいいぜ? へたしたら『将来的なお付き合い』になるかもしれねぇぞ」
「それ、どういうこと?」

 それを聞いていたフィサリスウが「ぷっ」と噴き出した。

「彼女の父であるロッカス伯爵は、娘をすごく溺愛していてね。もし彼女の気持ちが君に向いているのなら、ラドフォード公爵家の治療係を終えたのち、伯爵家で婿入りができるくらいの身分を与えての就職提案を打診することまで考えているらしいよ?」
「え」

 彼は、愉快そうな笑みを浮かべる。

「うん、困るよね。だから私とラドフォード公爵の方で、伯爵からの話はことごとく潰しているんだ。君は安心してジークの治療にあたるといいよ。とりあえず、君が甘いお菓子でつられて、僕らの知らないところで墓穴を掘らない限りは安全だから、ね?」

 菓子一つでついていくわけがない。

 エリザは、口元がひくつきそうになった。また幼く見られているのだろう。