「軍人みたいなことを言うねぇ。なんだか意外だなぁ」

 フィサリウスが目を細め、首を傾げた。

「ジークは知ってた?」
「いえ。そういう理由も含んでいるとは知りませんでした……」
「おや、なんだか元気がないね」

 そう言われて気付く。

 ジークハルトは下を向き、フォークの先を口に入れもそもそとケーキを食べ進めている。

(せっかくのご褒美なのに、嬉しくないのかな?)

 彼が希望したことだったので、てっきり、先日食べた際に好きになったのかなとエリザは思っていた。

「まぁ、いいか。確かに重宝する軍人もいるみたいだけど、私は甘ければ甘いほど苦手かな。ハロルドはどっちもいける口だよね」

 話しを振られ、ハロルドが真面目な顔で「はい」と肯定の声を上げた。

「酒入りのチョコレート菓子が、とくに好きですね」
「チョコとお酒は合わないですよ。折角の甘さが台無しになりますっ」

 エリザは、つい必死になって主張してしまった。