こちらに向かってくるメイドは、左右が二十代、中央に十代の幼さが残る可愛らしい女性がいた。

 きっと大丈夫。そう改めて思い、エリザは「よし」と意気込んだ。

「さ、行きますよ、ジークハルト様」

 エリザが促すと、ジークハルトは小さな声量で「頑張るよ」と答えてのろのろと姿勢を整えた。

(……すごく嫌そうだなぁ)

 エリザとルディオは、立派なイケメン騎士に揃ってそう思った。

 間もなくメイド達とすれ違う。こちらに気付いた彼女達が、スカートの裾を持ち上げて礼を取った。

 すぐに視線が下へ向いた彼女達に、ジークハルトがほっとしたように小さな愛想笑いを返した。頭を上げた彼女達の頬が、うっすらと赤く染まる。

(微笑ましいなぁ)

 その反応を見つめていたエリザは、ふと、中央にいた若いメイドと目が合った。ひとまず、にっこりと笑い返しておく。

 少女がかぁっと赤くなっていった。

「……なぁ、エリオ?」

 すれちがったルディオが、何か言いたそうに彼女達を振り返る。