「味は、とくに大差ないかと思います」

 ひとまずキャンディーについて、ジークハルトはそう答えた。

「ふうん。それになのに私に分けてくれないって、おかしくない?」
「これは僕の『ご褒美』なので、あげません」

 再びきっぱり断ると、フィサリウスがどこか面白そうに目を細めた。

「でもさ、ジークの『ご褒美』なのに、その内容が治療係であるエリオも一緒になってケーキを食べることとか、変じゃないかな? 君はそこまで甘党でもなかったはずだし、私にはね、まるでエリオにケーキをあげたいと言っているように聞こえたけど」
「そうですよ?」

 間髪入れず、ジークハルトは肯定した。

「は……?」

 フィサリウスが、珍しく呆けた声を上げた。

「…………ジーク、もう一回言ってくれる?」