【死の森に好んで住みついている恐ろしい男で、魔物をあっという間に滅する強い魔法使い。登録名は〝赤い魔法使い〟だ】
それは、王宮で勤務していたジークハルトの耳にも入った噂だった。
ルディオがそのたび含み笑いしていた。まさか、友好関係かあって、どんな人物かを知ったうえで笑っていたとは思いもしていなかった。
その【赤い魔法使い】は、思っていたよりも小さくて線が細かった。
どちらかと言えば、喧嘩さえしないような可愛らしい顔立ちをしていた。魔物を容赦なく滅するイメージがない。
だが、躊躇なく頑丈な部屋の扉を破壊した彼との出会いは、だからこそジークハルトにとって強烈だった。
公爵家にやって来る治療係希望の者達は、大抵が今後のことを考えたり『きっと治りますぞ』と自信やら打算を抱えていた。しかし、どうやら当初から、エリオは完全に期待値ゼロで面談に来たことだけは分かった。
雇うのも雇わないのも、あなたの自由だ、と言わんばかりに。
それは、王宮で勤務していたジークハルトの耳にも入った噂だった。
ルディオがそのたび含み笑いしていた。まさか、友好関係かあって、どんな人物かを知ったうえで笑っていたとは思いもしていなかった。
その【赤い魔法使い】は、思っていたよりも小さくて線が細かった。
どちらかと言えば、喧嘩さえしないような可愛らしい顔立ちをしていた。魔物を容赦なく滅するイメージがない。
だが、躊躇なく頑丈な部屋の扉を破壊した彼との出会いは、だからこそジークハルトにとって強烈だった。
公爵家にやって来る治療係希望の者達は、大抵が今後のことを考えたり『きっと治りますぞ』と自信やら打算を抱えていた。しかし、どうやら当初から、エリオは完全に期待値ゼロで面談に来たことだけは分かった。
雇うのも雇わないのも、あなたの自由だ、と言わんばかりに。