その際に手に触れても、まるで同性のような反応しか示さないのである。

「肉体レベルで男認識ってこと? 自衛のために服装が男物ってだけで、男を目指しているつもりはないよ!?」
「まぁ落ち着けって。ジークの調子がいいのは事実だし? それにさ、気にする必要はないと思うぜ。蕁麻疹が出ないのは魔力が関わっているかもって、ハロルド隊長も言ってただろ?」

(だから、私はその魔力を持っていないんだってば)

 異国の術者の弟子、だとは教えているが魔力がある前提でルディオは認識している。エリザは分かりやすく溜息を吐いた。

「なんか言いたいことが山ほどありそう」
「あるよ。でも、いい」
「今度は俺が愚痴を聞くから、気が向いたら離せよ。お前菓子好きだろ? 食べないのか?」
「食べる――けど、ジークハルト様が茶会という課題をクリアしたら、ご褒美に皆で一緒にケーキを食べることになったの、忘れてないよね?」

 エリザはクッキーを一枚取りつつ、いちおう確認した。