嬉しいと感じてくれている気持ちを無碍にもしたくない。

 エリザは、急きょその案を取り入れることを考えた。ジークハルトが大人であることをいったん脇に置いて、子供だったらどんな流れが嬉しいか思案する。

「そう、ですね。ええと、毎回同じ物だと飽きられると思いますから、課題の難易度に応じて、私に用意できる範囲内でジークハルト様の希望を叶えることにします。簡単なミッションに関しても、その都度キャンディーをプレゼントいたします」

 キャンディーくらいだったら、エリザの貯金でも難なく買える。

 ジークハルトが満足げな笑顔を浮かべた。泣いたあとのせいか、その笑顔はやけに幼い感じにも見えた。

(まぁ、一件落着。良かった――)

 期待に応えられたようで何よりだ。

 そう思って心の中で一息ついた時、不意に、ジークハルトがどこか恥ずかしそうに両手を開いてきた。

「え。なんですか、ジークハルト様?」
「ご褒美は、僕が決めてもいいのでしょう? それなら……抱き締めてもいいですか?」