「あああああのっ、謝罪ならあとでいくらでも聞くんで、とりあえず貴方様のためなので今すぐ手を離してくださいぃいぃ!」

 引き続き頭をこすりつけられて、腰やら脇腹がくすぐったい。

 怪力の指輪をしているので、軍人として鍛えているであろう彼だって引き剥がせはする。しかし、素手で直に触れて大丈夫なのかも分からなくて、エリザは自分ら彼に触る行為には出られなかった。

「引き離すなんてひどすぎます! 僕は一人でがんばったんですよ!」
「うわぁあぁ知ってますっ、それは知ってますから! 頑張ってミッションコンプリートしたご褒美だってあげますから!」

 ジークハルトは、僅かな接触でも蕁麻疹が出る。

 それを考え、甲高い悲鳴が出そうになった口から、思わずなりふり構わず思い付きそう言った。

 するとジークハルトが、初めてぴたりと止まってくれる。

「ご褒美……」

 そう呟いたかと思うと、渋々といった様子で手を離してくれた。