「こんなに信用されないのも初めてだなぁ。大抵の子は顔を真っ赤にして納得してくれるのに。僕の勘って外れたことがないんだよ?」
「はぁ、勘なのですか……」

 余計信用ならないなと思っていると、フィサリウスがまた極上の笑みを浮かべた。

(なんか、確信に燃えることがあるからそこも発言にも感じるんだけど……)

 そんな疑問を覚えた時、彼が向こうを見て「おや」と言った。

 そこはジークハルトがいた場所だ。何か起こっていることを勘ぐってばっと目を向けて、エリザは安堵する。

 そこに、エレノアと話すということを達成したジークハルトがいた。

(よかった、自分で無事に切り抜けられたみたい)

 だが直後、エリザは「え」と固まる。

 目が合った途端、ジークハルトが眉を八の字にして瞳を潤ませた。

(え、待って。ここで泣いたら台無しになるんじゃないの?)

 案の定そうだったようだ。隣にいたフィサリウスが「まずいなぁ」と間延びした声で呟いた。