大丈夫ではなかったようだ。数分であっても、女性との対面が本人は〝怖い〟のだ。
顔や表情、声を聞く限り全く問題がなさそうなのも、ジークハルトの努力の賜物なのだろう。
ラドフォード公爵家から懐中時計は支給されていた。エリザは七分を越えても侯爵令嬢の話しが途切れなさそうだったので、付き人のように声を掛けた。
「ジークハルト様、そろそろお次の方が」
約束があると受け取ってくれたようた。侯爵令嬢か「忙しいのにごめんなさい」というようなことを言って、すんなり終了となった。
彼女から離れるように歩き出してすぐ、ジークハルトが目頭を押さえた。
「……決心が崩れそうです」
「大丈夫です、完璧な社交でした。やればできるじゃないですか」
ちょっと同情しそうだが、彼のためにも心は鬼にしなければならない。
(続けることで、彼の耐性が鍛えられるかもしれないしっ)
それに、ここ長くとどまっている方がジークハルトは疲弊するだろう。早く終わらせるのが吉だ。
顔や表情、声を聞く限り全く問題がなさそうなのも、ジークハルトの努力の賜物なのだろう。
ラドフォード公爵家から懐中時計は支給されていた。エリザは七分を越えても侯爵令嬢の話しが途切れなさそうだったので、付き人のように声を掛けた。
「ジークハルト様、そろそろお次の方が」
約束があると受け取ってくれたようた。侯爵令嬢か「忙しいのにごめんなさい」というようなことを言って、すんなり終了となった。
彼女から離れるように歩き出してすぐ、ジークハルトが目頭を押さえた。
「……決心が崩れそうです」
「大丈夫です、完璧な社交でした。やればできるじゃないですか」
ちょっと同情しそうだが、彼のためにも心は鬼にしなければならない。
(続けることで、彼の耐性が鍛えられるかもしれないしっ)
それに、ここ長くとどまっている方がジークハルトは疲弊するだろう。早く終わらせるのが吉だ。