『ふうん? ワインみたいな赤は珍しいけど、首都には赤毛混じりも少なくともあるから、全然変じゃないと思うけどなぁ』

 彼情報で、赤毛交じりの髪は少数存在することを知った。

 けれどびっくりしたのは、直後の彼の言葉だった。

『なぁ、というかさ、魔法使い様って魔女様だったのか?』

 十人中十人は性別を間違えてくるので、驚いた。

 それから、彼には男性名偽名の『エリオ』だと教えて、ひょんなことからお喋り友達になってしまったのだった。


 そんなことを思い出しながら、エリザは森に入って十分の距離にある寝床兼小屋に彼を案内する。

 そこは昔、討伐のための待機所として使われていたらしい。

 もう誰も使っていなさそうだったので、『しばらくここに住んでいいか』と確認して寝泊まりしている。

 最小限の家屋しかない手狭な室内だ。中央にある小さな円卓の椅子が一つ増えたのは、ルディオという訪問客が現れてからだった。

「で? 今日もまた例の愚痴?」