「え? あの、もう要らないんですか?」

 尋ねると、彼がまた少し考える。

「そうですね。チョコは少し甘すぎました」
「そうですか……要らないのであれば有り難くいただきますが、そうしなくても私、自分で食べられますけれど」

 エリザは主張したものの、彼は一口目を下げるつもりはないらしい。

 ジークハルトはこちらに一口サイズのケーキがのったフォークを向けたまま、じっと待っている。

 一口目をポイされてももったいないので、エリザはケーキに食らいついた。

 なんだか、ジークハルトがとても嬉しそうな顔をした。


 ケーキを食べたのち、早速課題に取り掛かることなった。

 糖分摂取のおかげでエルネギーは戻ったようだが、動き出すとなると、ジークハルトは緊張したように拳を作ったりといたりした。

「大丈夫そうですか?」
「エリオが付いていてくれるので、その……頑張りたいと思います」

 そう言って、見下ろしていた手の拳をといた。