「甘いものを食べようと考えいます。付き合っていただけますか?」

 ハロルドとは逆方向に足を進めながら、ジークハルトに声をかけられた。

「はい、もちろんです」

 彼に付いていき、料理コーナーのテーブルへと向かう。

 デザート用のテーブルには人がいなかった。多くの種類のケーキが並んでいるのに、ほとんどの参加者が目も向けないのが信じられない。

「美味しいのにな」

 食べるタイミングも、マナーがあったりするのだろうか。

 そんなことを思いなから、ジークハルトにも皿を手渡した。呟きが聞こえたのか、目が合った彼がにこっと笑った。

「ケーキを目的で食べる人も、珍しくはありますね」
「ふうん、そうなんですか」
「先程から美味しそうに食べていましたね。どれがお薦めなんですか?」
「見ていたんですか? 今のところ、この濃厚なチョコレートケーキが一番ですね」

 三回も続けてお代わりしているので、自信がある。