(治ってくれれば、と彼を含めみんな思っているんだろうなぁ)

 エリザは、彼が全面的に協力的なのも納得した。

「お話を聞かせてくれて、ありがとうございます」
「いえ、お役に立てたのなら良かったです」
「ついでに、これはジークハルト様には関係のないことなのですが、もう一つ教えてもらってもいいですか?」

 時間が大丈夫か心配になって、確認した。

 ハロルドは目を小さく見開き、それから「ええ、もちろんです」と答えてきた。

「私に答えられることなら、なんなりと」
「実は、入場してしばらくすれば落ち着くかなと思っていたのですが、いまだに結構な方の視線を感じていまして……専属医がここまでついて来るのは、やはりおかしいのでしょうか?」

 するとハロルドが、察したように笑った。

「いえいえ、おかしくしはないですよ。護衛に強い魔法使いをされている者もいます。ただ、公爵家の専属医は特別ですからね」
「特別?」