「ああ、失礼。ルディオから聞いた通り、素直なお方らしいと分かったので。そうですね、ジークは非常に優秀な部下です。剣術で彼に勝てる奴もなかなかいません」
「その腕も買われているんですね」
「彼は王太子の護衛についたのち、直々に腕と頭脳を買われて、専属の護衛騎士に抜擢されたのです。私も誇らしいです」
「……例のことを除いては?」
「……まぁ、そうですね。姫も一緒に護衛させるには難しいですね」

 ハロルドが口元に拳を添えて、小さな声で言った。

 周りの賑やかさに声を潜めて、彼は『その欠点があったとしても、優秀という評価に変わりがない』ということを教えてくれた。

 困ったのは、屋敷と同じく女性使用人も〝だめ〟であることだ。

 ジークハルトは、一人で数人の護衛力と戦力を発揮する。殿下と共にいる際に姫も護衛できれば心強いのだが、その場合はハロルドと他の隊士達も付くようだ。

 女性恐怖症であるせいで、一部支障が出る業務はあるらしい。