あの同窓会の日から、果凛さんからの連絡はなかった。あれから一週間、なんの音沙汰もないことに、僕も未城さんも、もやもやとした不安を抱えていた。
夜、あのカフェではなく人の少ないバーで、僕ら二人は集まった。
「果凛さんから連絡ありませんか?」
「はい、私のところには何も無いです。こちらから何度か送ってはいるんですけど」
はぁ、と珍しく未城さんがため息を着く。僕も、そうですか、と一言返して頼んだカクテルを飲んだ。
「お店にも、出勤してないみたいなんです」
会えないのなら、とまた指名をしようとしたら、お店の人から、しばらく休暇です、と言われてしまった。一体あの後何があったのか、僕らに確かめる術は無い。
「何か、果凛さんと連絡を取れる手段があればいいんですけど」
「そうですね、私も、このままでは心配です」
未城さんも何だか可愛らしい色のカクテルを一口飲んだ。
「……僕らが本当に友人なら、連絡を取ることに悩んだりしないんでしょうけど」
ふと口をついて出た言葉。僕は未城さんと先日話して果凛さんと友人になったと思っていたのだろう。
「寂しいこと言わないでください。きっと大丈夫ですよ」
未城さんから出た言葉に、僕は隣にいる彼女の顔を見た。未城さんも悲しそうな顔をしていた。
「そうですね……」
僕は、励ますことも出来なくて、結局そう答えることしか出来なかった。もう少し酔いたいです、と言った未城さんを残して、先にバーから帰る。
女性を一人の子しておくのはなんだか男としてどうなんだ、と思ったが、未城さんは一人になりたそうだったから。
あれからまた数日。僕は仕事が忙しくてなかなかカフェに行けなかった。しばらくしてから閉店時間ギリギリのカフェに行くと、いつもと変わらない様子の未城さんがいた。
「お久しぶりです、水戸瀬さん」
「お久しぶりです。コーヒーをいただいてもいいですか?」
いつもの席に座り、未城さんにそう言うと驚いた顔をされたが、すぐに頷いて彼女はコーヒーを持ってきてくれた。
「珍しいですね、コーヒーなんて」
「まぁ……たまには飲みたくなりますよ」
未城さんの事情を知っているのか、僕がいてもマスターは店を閉店にして、店の奥に入っていった。
角砂糖を入れて、ひとくち飲む。ほんのり苦い味が、心地よく感じた。
「お仕事が忙しかったんですか?」
「はい。……未城さんは?」
「私は、相変わらずですよ」
自分の分のカフェオレを持ってきて、向かい側の席に座る。そういえば未城さんはいつもカフェオレな気がするなぁ、とぼんやり思った。
「……未城さんは、甘いのが好きなんですか?」
僕はなんとなくそう問いかけ、彼女の方を見つめた。
「私、苦いの苦手なんです。恥ずかしいですけど」
控えめに笑う彼女をみて、少し幼く見えた気がした。やはり、落ち着きのある未城さんも、なんだか少女的なものを感じる。果凛さんとは違う魅力は、そこなのだろうか。
「果凛さんも、甘いものが好きですよね」
「そうみたいです。私より、甘党ですよきっと」
たしかに、と僕らは二人で笑った。果凛さんはいつも甘いものを食べているイメージがあったから。
「人の噂話で盛り上がらないでくれる?」
ふと聞こえた後ろからの声。その声の主は、もちろん果凛さんだった。
夜、あのカフェではなく人の少ないバーで、僕ら二人は集まった。
「果凛さんから連絡ありませんか?」
「はい、私のところには何も無いです。こちらから何度か送ってはいるんですけど」
はぁ、と珍しく未城さんがため息を着く。僕も、そうですか、と一言返して頼んだカクテルを飲んだ。
「お店にも、出勤してないみたいなんです」
会えないのなら、とまた指名をしようとしたら、お店の人から、しばらく休暇です、と言われてしまった。一体あの後何があったのか、僕らに確かめる術は無い。
「何か、果凛さんと連絡を取れる手段があればいいんですけど」
「そうですね、私も、このままでは心配です」
未城さんも何だか可愛らしい色のカクテルを一口飲んだ。
「……僕らが本当に友人なら、連絡を取ることに悩んだりしないんでしょうけど」
ふと口をついて出た言葉。僕は未城さんと先日話して果凛さんと友人になったと思っていたのだろう。
「寂しいこと言わないでください。きっと大丈夫ですよ」
未城さんから出た言葉に、僕は隣にいる彼女の顔を見た。未城さんも悲しそうな顔をしていた。
「そうですね……」
僕は、励ますことも出来なくて、結局そう答えることしか出来なかった。もう少し酔いたいです、と言った未城さんを残して、先にバーから帰る。
女性を一人の子しておくのはなんだか男としてどうなんだ、と思ったが、未城さんは一人になりたそうだったから。
あれからまた数日。僕は仕事が忙しくてなかなかカフェに行けなかった。しばらくしてから閉店時間ギリギリのカフェに行くと、いつもと変わらない様子の未城さんがいた。
「お久しぶりです、水戸瀬さん」
「お久しぶりです。コーヒーをいただいてもいいですか?」
いつもの席に座り、未城さんにそう言うと驚いた顔をされたが、すぐに頷いて彼女はコーヒーを持ってきてくれた。
「珍しいですね、コーヒーなんて」
「まぁ……たまには飲みたくなりますよ」
未城さんの事情を知っているのか、僕がいてもマスターは店を閉店にして、店の奥に入っていった。
角砂糖を入れて、ひとくち飲む。ほんのり苦い味が、心地よく感じた。
「お仕事が忙しかったんですか?」
「はい。……未城さんは?」
「私は、相変わらずですよ」
自分の分のカフェオレを持ってきて、向かい側の席に座る。そういえば未城さんはいつもカフェオレな気がするなぁ、とぼんやり思った。
「……未城さんは、甘いのが好きなんですか?」
僕はなんとなくそう問いかけ、彼女の方を見つめた。
「私、苦いの苦手なんです。恥ずかしいですけど」
控えめに笑う彼女をみて、少し幼く見えた気がした。やはり、落ち着きのある未城さんも、なんだか少女的なものを感じる。果凛さんとは違う魅力は、そこなのだろうか。
「果凛さんも、甘いものが好きですよね」
「そうみたいです。私より、甘党ですよきっと」
たしかに、と僕らは二人で笑った。果凛さんはいつも甘いものを食べているイメージがあったから。
「人の噂話で盛り上がらないでくれる?」
ふと聞こえた後ろからの声。その声の主は、もちろん果凛さんだった。