本当は、最近変だと言われた理由はこれだけじゃなかった。でも、今日の今の状態での原因はこれで間違いなかったから。だから嘘では無い。嘘は言っていない。でも、正直に全てを話せてはいない自分と、結城君を必要以上に悪者にしてしまった気がする事への罪悪感が、私の中に生まれていた。

 なんだろう……最近の私ってこんなのばっか。ずっとこんな事を繰り返してる。

 楽しいも、つまらないも、なにもかも。誰かの顔色を窺ってから発言している。サングラスの話もそう。最近の私の態度についてもそう。
 声を出して笑う事も、何かの不満を言う事も、全て何かの規定に従っている様な感じ。誰かの言う事を聞くのが当たり前で、自分の意思と違っても断る事が出来なくて——

 ——あ、それって結城君の言う通りだ。

『ちゃんと断りましょう』と、彼は言った。あの時私にも選択権があった事は事実だし、実際私は待ちたい訳でもなかったのに、待ってと言われたから待ってしまった。その事実を結城君に指摘されて、図星だったから私はこんなに腹を立てたのだ。

「授業もろくに出ない奴に言われたくないよね」
「……うん」

 でも、そう。間違ってるのは私じゃなくて向こうなはず。だって教室に戻らないから先生が私に頼んだんだから、私が待つ事になったのは彼が自分で蒔いた種によるものだ。私が断れなかった事だけが悪い訳じゃない。

「あんま気にしない方が良いよ」

 そう言ってくれるみんなにお礼を言って家に帰ったけれど、あれだけ慰めて貰ったにも関わらずに、心は晴れないままだった。

 悪い事をした。悪い事をしている。そんな気持ちがずっと私の後ろについて歩いていた。