明日もずっと君の隣に


「今聞いた感じだと、結城には橘って人との間で過去のトラウマみたいなものがあって、それを澪が刺激しちゃったからまた結城は不登校になったかもって事だよね?」
「う、うん」
「ならさ、トラウマを克服させちゃえばいいんだよ。つまり橘って人とのいざこざを解決させるって事。修復不可能な大喧嘩でもしたの?」
「う、ううん。話せないまま会えなくなったって……後悔があるみたい」
「じゃあ会わせて直接会話させてそれで終了じゃん」

 じゃ、決まりだね!と、穂乃果ちゃんはどこかに連絡し始めるので慌てて止めた。そんな簡単な事みたいに言うけれど、そんなの本人抜きで決めて良いはずがないし、何より展開が早すぎてまだ結果に至るまでの想像すらついてない。
 だけど穂乃果ちゃんにそんな考えはちっとも伝わっていなくて、なんで止めるの?と、キョトンとした目で私を見る。そして、

「澪もそうだったじゃん」

 と、またしても考えが追いつかない言葉を口にする。

「澪も私と話して解決したから体調治ったんでしょ? でもさ、一人で待ってるだけで解決出来たと思う?」
「……!」
「私はきっと澪が言ってくれないって不機嫌なままだし、澪はそんな私にびくびくしたままだし、みんなはそんな事気にしないから誰も解決させようとまではしてくれなかったと思うよ。手助けしてくれた人が居たから一歩踏み出せたんだよね?」
「……うん、そう」

 そうだ。結城君が居たから。結城君が助けてくれたから、私は今こうして穂乃果ちゃんと、みんなと笑顔で話せて、体調不良も無くなった。

「大丈夫って言ってる相手に弱音は吐かないよ。言えないし、言いたくないと思ってるんだもん。でも言って欲しいよね。澪にもその気持ち分かるでしょ?」
「うん」
「そうなると二人だけでの解決は無理だよ。なんで言えないかの部分を解決してあげないと、きっと言ってくれない。じゃあ結城のなんで言えないかの部分。その理由は?」
「橘さんの事、乗り越えられてないから。私が乗り越える事を望んじゃったから」
「ほら。じゃあ乗り越えてもらお。機会を作る為に、まずは橘って人と接触しよう」

 そして、「何か質問ある?」と急に穂乃果ちゃんが私に訊ねるので、私は今、一番感じている事をそのまま口にしていた。

「出来るの?」

 それに穂乃果ちゃんがニヤリと笑う。

「とりあえず、結城と友達だった先輩に聞いてみる。まだ繋がりあるらしいから」
「え! 穂乃果ちゃんも先輩と知り合いだったの?」
「ううん。気になったから個人的に友達通して知り合っただけ」
「気になったって……」

 もしかして。

「だって結城がどんな奴か心配じゃん。澪とずっと一緒でさ、遂には澪の彼氏なんだから」
「……私、穂乃果ちゃんにだいぶ愛されてるね」

 思わず呟いた言葉に、穂乃果ちゃんは呆れた様に笑って言った。「やっと分かったの?」って。